

ロードバイクイベントのブルベってどんなイベントなの?



過酷って聞くけど、ブルベの楽しさって何なの?
BRM(ブルベ)とは、主催するクラブから事前に公表されたルートを、制限時間内に走行してゴールを目指す自転車のイベントです。
制限時間内に決められたルートを自分の力のみで走り切る
というシンプルなルールではありますが、ブルベのルートは最低でも200km以上となります。
そのため、多くのサイクリストがあまり経験したことのない、長距離ならぬ超距離のロングライドイベントと言えるでしょう。
- ブルベの楽しさや過酷さ
- SR(シューペル・ランドヌール)とは
- ブルベの申し込み方法と注意点
この記事ではこれらの内容を踏まえ、僕が興味を持った少し異質なロードバイクイベントの「ブルベ(BRM)」について詳しく解説します。



専門用語は少し多いですが、適宜解説をしているので簡単に読み進められると思います。
そもそもブルベ(BRM)とは?


あらためてブルベとは、主催するクラブから事前に公表されたルートを制限時間内に走行してゴールを目指す自転車のイベントです。
熱烈なファンも多く、実際に100周年などの記念ブルベには応募が殺到し、100名弱の応募枠が数分で埋まってしまうほどの人気っぷりです。
尚、参加資格は20歳以上のサイクリストとなり、参加者は「ランドヌール」と呼ばれます。
走行距離は最低でも200km(制限時間13時間半)からとなっているため、一見すると時間にゆとりがあるように思われます。
ですが、ルートの途中にあるPC(ポイントコントロール)通過にも制限時間が設定されているため、実は思いのほかシビアな点もブルベの特徴です。
基本的にブルベのルートは走行距離100kmあたり1,000mの獲得標高(登り区間)になっているため、平坦やヒルクライムなど総合的な走力が必要となります。
PC(ポイントコントロール)の補足
PC(ポイントコントロール)は基本的にルート上のチェックポイントとなり、コンビニが指定されています。
また、PC通過を証明するために、何らかの商品を購入する必要がある点に注意が必要です。
PCをコンビニに指定されていることのメリットは以下の通りです。
- 補給食を購入できる
- 通過時刻を証明することができる
また、参加者同士の交流の場にもなりますが、あまり長居しすぎないように注意が必要です。



ゴールした際に必要になりますので、レシートは大切に保管してください!
距離によって必要なグロス速度(休憩などの時間を含めた平均速度)は異なりますが、以降の項目で解説していますので、気になる方は距離毎のグロス速度に移動してください。
また、ロードレースとは異なり、他の参加者と順位を競うイベントではないことがブルベの大きな特徴です。
そのため、一般の公道を利用して開催されますので、参加費も2,000円前後で安いですし、運営の方もボランティアという特徴があります。(道路の封鎖や交通規制も行われません)



公道を利用するので当たり前ですが、道路交通法を遵守する必要があります。
SR(シューペル・ランドヌール)とは凄い自転車乗りの称号
ブルベには、凄い自転車乗りと呼ばれるSR(シューペル・ランドヌール)という称号があります。
なぜSRの説明をするかというと、このSRはブルベに参加する多くのランドヌールが目指している称号であり、実際に僕自身も目指しています。
SRを獲得するためには、1年間の中で200km、300km、400km、600km(年間の合計が1500km以上)のブルベを完走して認定を受ける必要があります。
なお、長い距離での代替もできるので、300km、300km、400km、600kmでもSRの申請は可能ですが、1000kmでは代替することができない点には注意が必要です。



SRを獲得すると翌年のパリ・ブレスト・パリ(PBP)という1,200kmのサイクリングイベントへ参加することができます。
ブルベ(BRM)未経験からSR獲得を目指す際の詳細な手順は、以下の記事を参考にしてください。


具体的なブルベの楽しさ


異常な距離を完走した際に得られる「大きな達成感」や「絶景との出会い」がブルベ最大の魅力であり、楽しさの根幹とも言えるでしょう。
また、参加者の中には「完走した際に購入できる記念メダル」のコレクションを目的として、参加しているランドヌールもいます。
- 出場したロードレースで上位に入賞できた
- 富士ヒルクライムでシルバーを獲得できた
- Stravaで自身の区間記録を更新できた
もちろん、これらを達成するにはそれはそれは辛いトレーニングを日々行う必要があるので、大きな達成感を得ることができます。
しかし、ロードレースのようにバチバチに他者と競い合うことが苦手な人もいますし、Stravaの記録更新は形に残りません。



弱虫ペダルは好きですが、僕はロードレースの雰囲気がちょっと苦手かもです…
そのため、
- 自分のペースでロードバイクを楽しめる
- 物理的な記念メダルが手元に残る
個人的にですが、これらの内容がブルベの魅力だと感じています。
ブルベの過酷さ


異常な距離を走り切ることで、得られる大きな達成感がブルベの魅力です。
その反面、「眠気や天候に左右されず、決められたルートを昼夜を問わずに走り続ける必要がある」ということが、ブルベ最大の過酷さと言えるでしょう。
以下、日本で開催されるブルベを統括するAJ(オダックス・ジャパン)からの引用となります。
ブルベは危険なスポーツです。常に事故の被害者および加害者になる危険があります。
AJ(オダックス・ジャパン)より引用
事故によって永続的な身体障害、麻痺、及び死亡を含む重い身体障害を自己および他者に生じさせるおそれがあります。



危険なスポーツってどういうこと?



夜間帯の走行や蓄積した疲労による判断力の低下がきっかけで、大きな事故に繋がる可能性がある。ということを示唆していると思われます。
また、ブルベの制限時間には以下の時間が含まれています。
- 信号待ちなどの停車時間
- 補給などの休憩時間
- 機材トラブルへの対応や睡眠時間
これらの時間を踏まえて制限時間内に完走する必要がある点は、やはりブルベの過酷さが伺える内容だと感じています。



疲弊した体に鞭をうって走行する必要がある点も、ブルベの過酷さの一つですね…
ブルベに適した装備の仕様


昼夜問わず自転車で走り続けるブルベには、参加する上での仕様や制約があり、具体的には以下のような内容があります。
- 前照灯(フロントライト)を着用する
- 反射ベストを常時着用する
- 尾灯(リアライト)は常時点灯させる
- ヘルメットを着用する
- ベルを着用する



反射ベストはブルベの代名詞ですね。
特に気をつけるべきこととして「尾灯(テールライト)を常時点灯させる」必要があることだと感じています。
そのため、最低でも13時間半以上、点灯状態を維持できるテールライトを準備する必要があります。
もしくは複数のテールライトを用意してローテーションするなどでも問題ありません。
この他にもブルベを完走する上で必要な装備はありますが、別の記事で詳細をまとめる予定です。
保険の加入は必須
ブルベに参加するためには、自転車保険(補償金額が1億円以上)への加入が必須です。
ですが、保険の補償金額が1億円に満たない場合は、複数の保険に加入して1億円を満たせば問題ありません。
以下AJ(オダックスジャパン)からの引用となります。
昨今、自転車事故における賠償の高額判決も出ていることなどを踏まえ、オダックス・ジャパンが統括するBRM、Flecheについても、SR600同様、賠償責任保険金額を、現状の5千万円以上から、1億円以上に引き上げることを決定しました。 この変更は、2018年1月1日以降に開催されるBRM、Flecheに適用されます。
2017/07/18 補足 :1つの保険で新ルールの1億円以上という条件を満たせない場合は、複数の保険で満たせばよいこととします。その場合、保険会社、保険の種類、証券番号の申告に関しては、必要な全ての保険を申告していただきます。



保険には入っているけど、保証金額はいくらだっけ?



という方は事前に確認しておいてくださいね。
ではブルベの走行距離と制限時間を確認していきましょう。
ブルベの走行距離と制限時間


ブルベの走行距離は200kmから最長となる2500kmまで幅広い距離があります。
今回はSR(シューペール・ランドナー)獲得を目指す上で、必要な以下の4種類のブルベに絞って解説します。
- 200kmブルベ
- 制限時間:13時間30分 グロス速度:14.8km/h
- 300kmブルベ
- 制限時間:20時間00分 グロス速度:15.0km/h
- 400kmブルベ
- 制限時間:27時間00分 グロス速度:14.8km/h
- 600kmブルベ
- 制限時間:40時間00分 グロス速度:15.0km/h
補足ですが、ブルベは完走に必要な時間をグロス速度で計算しています。
このあまり聞き慣れない「グロス速度」ですが、以下の時間すべてを含めた平均速度となるため、注意が必要です。
- 信号待ちや休憩時間
- パンクなどのメカトラへの対応時間
- 仮眠時間
そのため、



いつも30kmくらいで走ってるから楽勝じゃないか?



という風に錯覚されてしまうとちょっと危険です。(実際に僕がそうでした…)
まずはここから!200kmブルベ


登竜門として、多くのランドヌールがはじめに挑戦する「200kmブルベ」の詳細は以下の通りです。
- 走行距離:200km
- 制限時間:13時間30分
- グロス速度:14.8km/h
必要なグロス速度は14.8km/hとなりますが、完走時の獲得標高は2000m以上になることが多いので、気を抜くことはできません。
また、200kmブルベでは日付を跨ぐことはないので、比較的軽装備の方を多く見かけます。



主催団体によって異なりますが、一般的に早朝6時頃からスタートして、夜間帯の20時頃にゴールします。
200kmを乗り越えた先の300kmブルベ


200kmを完走したランドヌールが、次に目指す300kmブルベの詳細は以下の通りです。
- 走行距離:300km
- 制限時間:20時間00分
- 必要速度:15km/h
必要なグロス速度は200kmよりも少し早く、15km/hとなります。
合計3000m以上の山岳地帯がコース内に存在することが多いので、気が抜けません。
200kmブルベと同じく、日付を跨ぐことはないので、比較的軽装備の方が多いです。
とはいえ、夜間帯の走行が避けられませんので、視認性の確保が必須となります。



主催団体によって異なりますが、一般的に深夜1時頃からスタートして、夜間帯20時頃にゴールします。
丸1日中走ることになる400kmブルベ


SRを目指す上で特に過酷と言われる400kmブルベ。
制限時間は27時間となり、丸一日以上自転車に乗り続けなくてはいけません。
また仮眠を取るか、取らないか?
という判断が必要となることから、ランドヌールの中では難易度が高いブルベとして認識されています。
- 走行距離:400km
- 制限時間:27時間00分
- 必要速度:14.8km/h
400kmからはフロントライト2灯以上、ヘルメットへの尾灯(点滅でOK)が必須となります。
また、制限時間が27時間ですので、400kmではじめて睡眠のマネジメントが必要になることが特徴です。



一般的に深夜にスタートして、ゴールも深夜になるケースが多いです。
途中で睡眠が不可欠な600kmブルベ


SR獲得に向けた最後の壁である600kmブルベ。
ここを完走できれば、念願のSR獲得です。
- 走行距離:600km
- 制限時間:40時間00分
- 必要速度:15km/h
400kmブルベと同じく、フロントライト2灯以上、ヘルメットへの尾灯(点滅でOK)が必須となります。
600kmを完走するためには、睡眠時間の確保は避けて通れません。
そこで多くのランドヌールは、折り返し地点となる300〜350km付近のホテルやネットカフェ、健康ランドなどで睡眠をとります。



600kmを乗り越えれば念願のSR獲得です。
では実際にブルベの申し込み方法を確認してみましょう。
ブルベの参加・申し込み方法


ブルベ申し込みの流れは以下の2パターンがあります。
- 主催クラブの公式サイトから申し込む
- スポーツエントリーから申し込む
ですが、主催クラブの多くがスポーツエントリーからの申し込みを採用しているため、本記事でもスポーツエントリー経由で申し込みする前提として解説します。
まずは1年間で開催されるブルベを確認します。AJの公式サイトから一覧で確認することができるので効率が良いです。
参加するブルベが決まったら、主催団体の規約を確認します。主催団体毎にルールが異なることもあるのでしっかり確認しておきましょう。※DHバーなどの利用は禁止!など
スポーツエントリーの登録は無料ですが、申し込む際に保険情報の入力が必要となりますので、あらかじめ自転車保険には加入しておきましょう。
注意点としては、ブルベを統括しているAJ(オダックス・ジャパン)からの申し込みはできない点に注意してください。
詳細な手順は以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。


AJ会員になるメリット
Audax Japanからの内容ですが、AJ会員が受けられる内容は以下2点となり、会費として1000円が必要です。
- ACP/RM認定ブルベに関する情報提供と申請作業
- 認定履歴データベースの提供(計画中)
しかし、実際にはこれらは機能していないので、正直に言うとAJ会員になるメリットはありません。
ですが、ボランティアで運営されているブルベを支援するためにも、加入しても良いと感じました。



お金に余裕があれば会員になってみてはいかがでしょうか。
ブルベに対するよくある質問や注意点


制限時間内に決められたルートを自分の力のみで走り切る
というシンプルなルールではありますが、実はブルベの規則は意外と多い点には注意が必要です。
僕自身ブルベに参加する前に、疑問に感じた内容が多かったので一例をまとめてみました。
- 尾灯(テールライト)は点滅だとダメなの?
-
Audax Japanの規則で尾灯(テールライト)は常時点灯が必須となります。1つのライトではランタイムが足りない場合は複数のライトを準備して交互に点灯するなどの工夫が必要です。
- 尾灯(テールライト)はサドルバッグに固定してもいいの?
-
サドルバッグへの固定が認められる場合もありますが、一般的に自転車本体に固定しなくてはならないことが多いです。主催団体のローカルルールによって左右されますので、主催クラブの公式サイトを確認してください。
- なんで出走しない時・リタイア時には主催者への連絡が必要なの?
-
運営側で出走者毎の状況を把握するために、連絡をする必要があります。
ブルベは出走、途中帰宅も自由ですが、連絡をしないことで運営の妨げになってしまったと判断されると、次回からは参加を拒否されてしまう可能性もあるので、必ず連絡をするようにしましょう。
また、ブルベ当日に出走しないことを「DNS(Did Not Started)」、ブルベの途中でリタイアすることを「DNF(Did Not Finished)」といいます。
- 参加者へのサポートで違反になるケースは?
-
PC以外でのパンクの修理や、風よけなどの行為をすると違反になる場合があります。
ですが、夜間帯の峠道など、視界の悪い場面では集団で走行することで、安全性を確保することが推奨されていますので、臨機応変に対応してブルベを楽しみましょう。
- DHバー(エアロバー)は利用できるの?
-
主催クラブの規約によって利用可否が分かれますが、利用が禁止されているケースが一般的です。
利用可能となっているものの、安全面を考慮して、信号付近などではエアロポジションを非推奨としている主催クラブもありましたので、参加するクラブの規約を確認してみてください。
などよくある疑問としてはこのような内容が多いと感じています。
その他にもありますが、長くなってしまうので、詳細は以下の記事を参照してみてください。





主催クラブによっても微妙にルールが違う場合もあるので、参加するクラブのルールをしっかり確認するようにしましょう。
【まとめ】ブルベは過酷だからこそ完走時の達成感が大きい!


あらためてブルベとは?という内容について確認してきました。



ただ過酷じゃないか…?
と感じてしまう可能性も否定できませんが、過酷であるがゆえ、完走時の達成感はとても大きいです。
ランドヌールのバイブルにもなっている「ブルベのすべて」に記載があった内容となりますが、SR(シューペール・ランドナー)を獲得する半数の方がブルベに初参加した年内に獲得されているとのこと。
また、著者の鈴木さん(Hirokazu Suzuki)が、200km完走後に記載しているコラムの内容がとても印象的でした。
正直言ってもう自転車に乗ることなんて考えたくもなくて、帰ってから悩みますとやんわり否定したつもりが、1週間後に300kmに申し込んでいた。
ブルベのすべて(166P)より引用
そのため、ブルベは多くのサイクリストを魅了するイベントであることは、紛れもない事実だと感じています。



せっかく興味を持たれたこの機会に挑戦してみてはいかがでしょうか?
以下の記事で、ブルベ未経験からSRを目指すための内容をまとめていますので、参考にしてみてください。


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