ブルベの途中でリタイアすることをDNF(Did Not Finish)といいます。
絶対にブルベを完走するぞ!
とスタート前は気合いに満ち溢れていても、各ブルベでDNFをするランドヌールは数名程度存在しますし、僕自身、DNFを経験して非常に悔しい思いをしました。
そのため、
ブルベ中にDNFを考えるタイミングってどんな時?
DNFする場合に気を付けることってあるの?
このような疑問を持たれている人に向けて、DNFを考えてしまう理由10選について詳しく解説します。
と感じる理由5選
と感じる理由5選
メンタルが弱っている状況でDNFを考えてしまうことが多いので、気持ちで負けないようにしましょう!
というのが本記事の結論です。(やや根性論のようですみません…)
これらの内容を踏まえ、ブルベの途中で誰もが考えたことがあるDNFについて解説します。
とはいえ、身体に痛みが出ていたり、怪我をしてしまった場合は、無理をせずにDNFするようにしてください。
【体験談】心が折れてDNF…
せっかく日程や体調を調整して参加しているのに、DNFするなんて勿体ない!
頭では分かっていても、メンタルが弱っている状況ではDNFを考えてしまうことが多いと感じています。
僕は以前600kmブルベに参加した時に、途中で心が折れてDNFをした経験があります。
当時600kmという距離を走った経験はありませんでしたが、300km地点で宿を予約しているし、なんとか走り切れるだろう!
と安易に考えていたものの、実際には240km地点でDNFをしてしまいました。
DNFをした時は非常に悔しい思いをしましたし、なんなら今でも少し後悔しています…
振り返ってみると、DNFを考えてしまった原因は主に以下の3つだと感じました。
- 前日の睡眠が不足していて眠かった
- 疲労が蓄積していてスピードが出せなくなっていた
- このまま進んでも間に合わないと思い込んでいた
冷静に考えてみると、①は少しの仮眠で解消できる可能性があります。
また、②、③については自分でDNFを肯定するための後付けの理由だったと感じています。
このように心が弱っている場合、連鎖的にDNFを肯定してしまうような思考になってしまうことがあるので、注意が必要だと感じました。
実際に20分弱の休憩である程度回復しましたし、グロスタイムも17.5kmくらいだったので、決して間に合わない状況ではありませんでした。
ブルべ中にDNFを考えてしまう理由10選
その時の体調や状況によって異なりますが、ブルベ中にDNFを考えてしまう状況を計10個ピックアップしました。
DNFを考えてしまうくらいなので、基本的に無理はしない方が良い。
という前提はあるものの、単純に心が折れかけているだけの可能性もあるので、冷静に状況を分析してみるようにしましょう。
と感じる理由5選
と感じる理由5選
それぞれ詳しく解説しますが、1つの内容でDNFを考えることもありますし、複合してDNFを考えてしまう場合もあります。
個人的には「脚が痛い+おしりが痛い+雨が降ってきた」の3連コンボが一番辛かったです…
まずは「もう少し頑張れるかも?」な理由から確認していきましょう。
もう少し頑張れるかも①:一緒に走っていた人に置いていかれた
ブルベは参加者が同じルートを走行しているので、脚の合うランドヌールと一緒に走行することも少なくありません。
信号での停車中やPC、通過チェックでの休憩中など、コミュニケーションをとる機会もあり、中盤〜後半の疲労が溜まっている時にはとても勇気付けられます。
ですが、以下のような状況では集団から逸れたり、一緒に走っていた人から置いていかれてしまう場合があります。
- 峠に差し掛かったタイミング
- 疲労の蓄積で巡航速度が維持できなくなった
このような状況では気持ちが沈んでしまう可能性が高いですが、実際は何も気にする必要はありません。
というのも、超重要で当たり前のことですが、ブルベは制限時間内に完走できれば認定されます。
そのため、途中で立ち止まっても良いですし、コンビニで休憩しても構いませんので、
置いていかれてもう追いつけないし、DNFしようかな…
このように考える必要は全くありません。
もしかすると次の信号やPCで合流できる可能性もありますし、後方からの合流があるかもしれませんので、無理に追いかけず、自分のペースを守って走行することが大切です。
誰かと一緒に走れるのは非常に心強いですが、置いていかれたとしてもメンタルを強く保ちましょう!
もう少し頑張れるかも②:雨が降ってきてモチベーションが下がった
ブルベにはシャーマン(雨を降らせる人)がいる。というのは、ランドヌールの共通認識です。
実際に、前日までは天気が良かったのに、なぜかブルベ当日は雨…
ということも多いですし、当日の天気予報は晴れなのに、道中で雨に降られることも稀にあります。
百歩譲って暑い季節の雨ならまだしも、
- 雨の影響で視界が悪くなる
- 雨の中の走行は愛車や自分自身がびしょ濡れになる…
- 季節によっては低体温症の原因になる可能性もある
このような状況ではDNFを考えてしまうこともありますが、事前に雨対策をすることで回避できる内容でもあります。
また、雲行きが怪しいと感じた場合は、走行を中断して状況を冷静に判断するようにしましょう。(雨具を着たりシューズカバーを装着するなど)
ブレーキの効きが悪くなったり、スリップによる落車の危険性も高まりますが、多くのランドヌールはそのまま走行し続けることが多いです。
雨具を忘れた場合はコンビニで調達できるので、緊急の際は立ち寄ってみてください。
もう少し頑張れるかも③:走行ルートを間違ってしまった
ブルベは走行ルートが決まっているため、必ず規定のルートを走行する必要があります。
そのため、ルートを間違ってしまったら、規定のルートに戻る必要があるため、やってしまった感と精神的なダメージはかなり大きいですし、DNFをしたくなる気持ちも分かります。
とはいえ、絶対に間に合わない…
ということもない筈ですので、
- 本来のルートへ合流するために必要な距離と目安時間
- 残りの時間やPCのクローズタイム
- 疲労度合い
これらの内容を冷静に分析して、リカバリーできそうであれば、もう少し頑張ってみましょう。
平坦10km弱であれば、30〜40分程度で走行できるので、1時間弱の貯金があれば時間内でのゴールを目指せる計算になります。
引き返す場合、次のPCや通過チェックまでの距離が大きくずれてしまうので、サイクルコンピュータの走行距離が進まないようにすることをおすすめします。
ルートミスは精神的なダメージが大きいですが、DNFを考えるのは冷静に状況を分析してからでも遅くありません。
もう少し頑張れるかも④:制限時間内にゴールできそうにない
# | 200kmブルベ | 300kmブルベ | 400kmブルベ | 600kmブルベ |
制限時間 | 13時間30分 | 20時間00分 | 27時間00分 | 40時間00分 |
必要なグロス速度 | 14.8km/h | 15.0km/h | 14.8km/h | 15.0km/h |
今のグロス速度が14kmだから、時間内にゴールすることはもう無理だ…
このような状況では、DNFを考えてしまうことも少なくありません。
とはいえ、このグロス速度はPCや通過チェックでの停車時間を工夫することで、リカバリーが可能です。
そのため、一時的にグロス速度が下がってしまったとしても、諦める必要はありません。
また、サイクルコンピュータの表示項目で合計時間と距離を表示させることで計算ができますが、面倒な場合は等速度運動のWebサイトでグロス速度を計算することがおすすめです。
画像の場合は7時間45分で125km地点にいる場合のグロス速度(16.1km/h)を計算しています。
計算が面倒な場合におすすめです。
もう少し頑張れるかも⑤:機材トラブルで走れそうにない
なぜかブルベ中は、経験したことのないトラブルに見舞われることがあります。
具体的には、以下のようなトラブルがあります。
- スペアのチューブがないのにパンクしてしまった…
- タイヤがバーストしてしまった…
- ディレーラーが動かなくなってしまった…
しかし、自己完結がブルベの精神ですので、このような場合は自分で対処しなくてはいけません。
トラブルの発生場所や状況によってはDNFするしかない場合もありますが、近くに自転車屋がないかを確認してみてください。
自転車屋への持ち込みはサポートに該当しないので、機材トラブルでDNFするのではなく、リカバリーができないかを検討しましょう。
時間のロスは痛いですが、市街地でのトラブルなら意外とリカバリーできる可能性もあります。
以降は「素直にDNFを検討した方が良い状況」を解説します。
無理しないほうがいい①:熱中症の疑いがある
近年は地球温暖化ならぬ、地球沸騰化状態で異常気象が続くことが多くなりました。
実際に7、8月では最高気温が35度を超える日も多く、僕ははじめて熱中症になりかけた経験があります…
10km走って10分休憩を繰り返してなんとかゴールに辿り着けましたが、本当に辛かったです…
そのため、長時間のライドによる疲労の蓄積と、灼熱の気温で身体が悲鳴をあげてしまいます。
このような場合は、無理をせずコンビニで休憩をしたり、頭から水を被るなどしてとにかく体温を下げることを意識してください。
休憩をとっても体調が回復しないようであれば、無理をせずDNFを検討することがおすすめです。
無理しないほうがいい②:低体温症の疑いがある
ジャージが濡れた状態でのダウンヒルや、突然の雨で身体が急激に冷えてしまうことがあります。
もし身体が冷えてしまった場合は無理をせず、屋根のある場所を探して体温の回復を図りましょう。
休憩をとっても体調が回復しないようであれば、無理をせずDNFを検討してください。
僕は比較的寒さには強い方ですが、汗だくのジャージで夜間走行をした時はさすがに身体が冷えてしまいました。
幸いにもジレタイプウィンドブレーカーを持っていたので良かったですが、何も対策をせずに走行していたら低体温になり動けなくなっていたかもしれません…
暑い季節であっても、万一に備えて準備を行うようにしましょう。
無理しないほうがいい③:ご飯が食べられない(味がしない、美味しくない)
個人差はありますが、疲労の蓄積で食欲が低下し、食事が喉を通らない場合があります。
以前400kmブルベに参加した際、折り返しの200kmを過ぎたタイミングや気温が高く、疲労が溜まっていた状況で食事が食べられなくなりました。
この時はゼリータイプの補給食やジュース、羊羹などカロリーが高く、消化が早いものを食べてエネルギーを補給しました。
ですが、どうしても食事が喉を通らず、スタミナが回復しない場合は、無理せずにDNFをした方が良いです。
このようなことがきっかけで、暑い季節のブルベに参加する際は、日常的に整腸剤を服用するようにしています。
またブルベ中は消化のサポートを目的として、弁当類を食べてから胃薬を服用するようにしていますが、結構おすすめです。
食欲がない場合は、消化に優れたゼリータイプの補給食やジュースでエネルギーを補給しましょう。
無理しないほうが良い④:脚が痛くて走るのがつらい
ブルベではPCやゴールに制限時間があり、間に合うためのグロス速度があります。
そのため、必要なグロス速度を下回っている場合、必然的に「踏む」必要があるのですが、この過程で脚を痛めてしまうことが多いです。
脚の痛みには複数の種類があり、他にも「膝の痛み」などがあります。
- 大腿四頭筋に乳酸が溜まって痛い
- 水分不足が原因でふくらはぎが攣ってからずっと痛い
- 膝の内側や外側に刺すような痛みがある
- ペダリングの度にくるぶし周辺の足首に痛みが走る
これらは僕が実際に経験したことになりますが、痛み止めを服用して走行を続けた結果、無事にゴールできたものの、痛みが長引いて、1ヶ月以上ロードバイクに乗れなくなりました…
あと◯km走り切れればSRなんだ!
など余程のことがなければ、後々のロードバイクライフに響く可能性もあるので、無理をせずにDNFを検討した方が良いです。
また、疲労が溜まってきたと感じたら、立ち止まってストレッチやマッサージをするようにしましょう。
原因は様々ですが、多くはロングライドによる筋肉のオーバユースが原因の可能性が高いので無理は禁物です。
無理しないほうが良い⑤:おしりが痛くて座っているのもつらい
おしりの痛みには、坐骨が圧迫されることによる痛みと、お尻の皮膚が炎症(擦り傷)を起こして生じる痛みがある感じています。
僕が経験したおしりの痛みには、以下のようなものがありました。
- 坐骨が圧迫されたことによる痛み
- お尻の皮膚が炎症(擦り傷)を起こして生じた痛み
個人的には「お尻の皮膚が炎症(擦り傷)を起こして生じた痛み」がかなり辛く、ペダリングの度にお尻に激痛が走ります…
「坐骨が圧迫されたことによる痛み」については、定期的にダンシングを織り交ぜて、座りっぱなしの状態にならないようにすることである程度軽減できました。
ですが、問題は「お尻の皮膚が炎症(擦り傷)を起こして生じた痛み」で、ペダリングの度にお尻に激痛が走ります…
対策としては、パッド部分にシャモアクリームやワセリンを塗ることで摩擦を軽減できるのですが、発汗量が多い季節だと定期的に塗り直す必要があります。
僕の場合、夏場であれば、100kmでパッドが汗だくになってしまい、150kmを過ぎるとお尻に痛みが出始めます…
悪化して痛みが出はじめた場合、コンビニのウォシュレットやホテル、ネットカフェのシャワーで清潔にした後に薬を塗って、対策するしか方法がないので、痛みが酷い場合はDNFを検討しましょう。
僕は100kmを目処にトイレでシャモアクリームを塗り直して対策していますが、メントールのようなスースー感があるので、苦手な方はProtect J1もおすすめです。
ASSOSのシャモアクリーム
Protect J1
お尻の汗蒸れに悩んでいるならシャモアクリームは本当におすすめです!
完走を目指すためにもメンタルは強く保つ
ブルベ中にDNFを考えてしまうことは誰にでもあります。
またDNFが頭をよぎるシーンを確認してきましたが、結局のところメンタルによるものが大半です。
そのため、これらの内容を意識しておくと、メンタルを保ったまま完走を目指せるようになります。
時間ギリギリでも認定される
ブルベはレースではありませんので、制限時間内であれば、1番にゴールしても最後にゴールしてもどちらも同じく認定されます。
自分が最後尾だと心が折れそうになってしまいますが、深く考えずに淡々と走行して完走を目指しましょう。
むしろ踏みすぎて膝を痛めてしまうよりも、自分のペースで無理なくゴールを目指す方が結果的に良いことが多いです。
- 200kmブルベを10時間以内に完走しちゃう人
- 600kmブルベを35時間以内に完走しちゃう人
例ですが、SNSではこのような猛者(いい意味で変態)がわんさか見受けられますが、自分も同じように完走できると錯覚せず、とにかく自分のペースで完走を目指しましょう。(大切なことなので2回目)
たとえビリだとしても、諦める必要はありません。
辛いのは自分だけではない
ブルベに参加するランドヌールにはベテランの方もいれば、はじめてブルベに参加している人もいます。
自分はこんなに満身創痍なのに、何でみんなは余裕なんだろう…
僕自身ブルベに参加したての頃は、いつもこのように感じていました。
ですが、ブルベの参加経験が増え、PCや道中でコミュニケーションを取る中で、実際はみんな辛いと感じていることを知って、凄く気持ちが楽になりました。(楽に感じている人は極少数です。)
辛い時こそ勇気を出して、他のランドヌールとコミュニケーションを取ってみてください。
全然余裕ですけど?という人は少数だと思いますが、基本みんな疲弊していることが多いです。
DNFの厄介なデメリット
ブルベの途中でもDNFをすれば帰路につけますが、おそらく自宅から遠く離れた場所にいることが非常に厄介です。
個人差はありますが、疲労が溜まってメンタルが折れそうになりはじめるのは、スタートからおよそ200km〜300km(日が落ちて暗くなる頃)に多いです。
場所によっては最寄りの駅がない場合もありますし、駅が近くにあったとしても終電がなくなっている可能性もあります。
このような場合、どこかで一泊してから輪行や自走で帰宅しなくてはなりませんので、この点はDNFの大きなデメリットだと感じました。
僕は一度、初夏の山で夜を越しましたが、異常に寒かったですし、始発を待つ間非常に過酷な状況を過ごしました…
DNFを考える場所=自宅から遠い場所となることが非常に厄介です…
万一DNFする場合は主催するクラブに必ず連絡すること
ブルベの途中でDNFする場合は規定の連絡方法に従って、必ず主催するクラブの担当者へ連絡をしてください。
クラブ側でシークレットPCを設定して、ルートの途中で参加者の通過を確認している。
ということはほぼない。と思われますが、
- DNFの連絡を行う
- 帰路に着く
という流れを必ず守るようにしてください。
クラブのルールが守れない場合は、次回以降参加自体を認めてもらえない場合もあるようです。
なお、DNFの連絡先はブルベカードや参加するブルベのWebページに記載があります。
先にDNFの連絡をしてから帰路に着くようにしてください。
【まとめ】ブルべ中は気持ちで負けないようにして完走を目指そう!
今回はブルベ中に誰もが1度は考えたことのある「DNF(Did Not Finish)」について解説しました。
身体の不調が出ている場合は無理をせず、DNFした方が良い場面もありますが、多くの場合メンタルが弱っていることが大きな要因だと感じています。
そのため、周りに流されず、自分のペースを守って完走を目指すことが重要です。
それでも辛い場合は、信号での停車中やPC、通過チェックなどで他のランドヌールに話しかけることで、メンタルが回復することもあるので、積極的に声を掛けてみてください。
また、DNFを考えてしまうタイミングは比較的面倒な状況にあることが多いです。
そのため、DNFをする場合、疲れが溜まっていると思いますが、主催するクラブへ連絡した後に安全に休める場所を目指すようにしてください。
ブルベは自分との戦いなので、自分のペースで着実にゴールを目指してもらえたらと思います。
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